
私が造形教室の講師として目指す姿。
それが『工作のコンシェルジュ』です。
私は残念ながら海外留学というものを経験しておりません。 でも、とても興味はありました。
大学の先生や先輩などからも色々な話を聞きましたし、
実際に留学中の友人を訪ねてアトリエを見学させてもらったりもしました。 そこで耳にした事の中でとても印象的だった事、
それは、
作りたい作品のイメージが固まったら、
広い知識のあるアドバイザーに
「どうやって作ろう?
(描く?染める?削る?型を作る?)」と
相談すると、
コンセプトや特徴を踏まえて、
「こうしたらいいよ」
「こんな素材があるよ」と
アドバイスを与え、
さらに「詳しい人がいるよ」と
その手法のプロフェッショナルである講師まで、
紹介してくれるというのです。
そのアドバイザーの事を私は“コンシェルジュ”だと思ったのです。
確かに私の在籍したファッションデザインコースにも
立体裁断の先生
パターンの先生
テーラーメイドの先生
ファッションビジネスの先生
テキスタイルの先生
などなどいらしたけれど、
各単位を取得後は作品を構想する時、
横断的な質問をしよう
という気持ちになりませんでした。 というより、その当時の私にはそれを引き出す様な
強いインスピレーションや積極性が足りなかったのでしょう。
そういった“コンシェルジュ”的存在に触れられたのは、 空間デザイナーとして在籍していた会社でのこと
「あの〜、こんな・・・」などとカタコトをいうだけで、
「それは○○さんてところがいいですよ。」
「見本は○○-○○の棚にあります」
と、スラスラと答えてくれる資料室のスタッフさん、 その方自体はデザインをする方でもしてきた方でもないのに。 でも、なんと助かったことでしょう。 そしてその知識量と確かさには
本当に感心させられたものです。
そんなアドバイスをいただきながらも、
自分が今まで作ってきたモノには、
「アレを使えば良かった」
「コレの方がコンセプトに合っていた」
など思い起こすと苦いものはたくさんあります。
テマヒマではまず
4〜6週間で1つの『手法』(テーマとよんでいます)を
使い作品を完成させることをくりかえして、
自分の使える『手法』をじっくり増やし
ある程度『手法』を蓄えたら、
一人一人が『作りたいもの』に
一番ふさわしい『手法』を導き出す
アドバイスを“コンシェルジュ”としてします。
「あの時の○○がいいんじゃない?」
「○○なら○○○みたいになるよ!」といった具合に。

そして、今取り組んでいる
「マイ・ストーリー モビール」が
まさにその実践の場となっています。
一人一人が描いたモビールにするためのストーリー
それは、本当に一人一人バラバラで、
紙粘土
羊毛フェルト
透明シート
画用紙立体
毛糸
厚手のトレーシングペーパー
など
『手法』が違うので使う素材もバラバラです。
時には生徒さんが自分の持ち物から、
ピッタリと思う材料を持参たりもします。
狭い教室の中、テーブルには道具が溢れんばかりです。 図工の時間の様に隣を見ても
真似できることすらありません。 その作品が次回のレッスンで完成を迎えます。
自分で考え、選んだ『手法』で
作品を完成させる経験。 これはとても貴重です。 そんな経験がさらに積み上がって
何か作りたいものが浮かんだ時、
「こんなものが作りたいんだけど、どの『手法』が一番かな?」
と、アドバイスを求めてもらえる存在。
それが、私が目指す『工作のコンシェルジュ』の姿です。
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